【AV出演強要】<AV問題>「人権に配慮」 統一契約書の中身とは?

アダルトビデオ(AV)への出演を強要されたと訴える人が相次いでいる問題で、毎日新聞は、AV女優が所属するプロダクションの団体が今春の全面導入を目指している統一契約書を入手した。出演意思確認の徹底に加えて「女優は理由なく仕事を断れる」「撮影キャンセル時に生じた損害は女優本人に賠償させない」などと定めており、団体は「出演者の人権や自己決定権を重視した」としている。

 これまで、AV出演について触れられていない、もしくはAVであることがわかりにくい内容の契約書が問題視されてきた。統一契約書には「ヌード撮影、性行為を伴うAV撮影」と明記され、出演者は「何ら強制・欺罔(ぎもう)されることなく自らの意思で決意した」と認めた上で署名することになる。既に一部のプロダクションで使用を始めている。

 また、ギャラの“透明化”に踏み込んでいるのも特徴だ。AV業界では、女優が実際に受け取る額=(1)とAV制作会社からプロダクションに支払われる額=(2)の比率などを開示しないのが通例とされてきたが、統一契約書では「(1)は(2)の〇〇%を下回ってはならない(※〇〇の数値はプロダクションが個別に設定)」「女優は(1)の根拠となる資料の開示を求められる」などとした。

 そのほか、撮影キャンセル時だけでなく、撮影後に女優が作品の販売・レンタル・配信停止を求めた際も本人に賠償請求しないことなどを盛り込んだ。

 AV女優のプロダクションを束ねる業界団体は存在しない状態が続いていたが、出演強要の社会問題化を受けて昨年4月に「日本プロダクション協会(JPG)」が発足。有識者らによる第三者委員会「AV人権倫理機構」の監修を受けながら、契約のあり方を見直してきた。JPGには今月15日現在、大小の25社が加盟しており、4月から統一契約書を全社で導入する予定。ただ、基幹部分は統一しつつ、各プロダクションの事情に応じて個別に規定を設けることも認める方針だという。

 AV人権倫理機構の山口貴士弁護士は「業界の自主努力は大切。今後はきちんと行動で(被害根絶の意思を)示してほしい」と話した。【加藤隆寛】


yahooニュース(毎日新聞) 2/16(金) 20:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180216-00000090-mai-soci