【長崎】相談機関 市民の力でいじめから救う 長崎で設立準備進む

相談機関 市民の力でいじめから救う 長崎で設立準備進む
毎日新聞2018年2月16日 14時30分(最終更新 2月16日 15時49分)
https://mainichi.jp/articles/20180216/k00/00e/040/352000c

 いじめで苦しむ子供を救いたい--。長崎県内の市民団体が、いじめや虐待などに苦しむ子供の相談機関の設立に向けた準備を進めている。5月に相談窓口を開設する。弁護士や医師らと連携して多角的な視点で解決策を提案するのが狙い。市民がいじめを巡る相談機関をつくるのは珍しく、メンバーは「子供が駆け込める場所をつくりたい」と話す。

 同県新上五島町で2014年1月に町立奈良尾中3年の松竹景虎(かげとら)さん(当時15歳)がいじめを苦に自殺した問題がきっかけだった。同町の第三者委員会の報告書によると、松竹さんは3年の1学期から同級生らに「うざい」「死ね」という悪口や無視などのいじめを受けた。松竹さんはいじめをテーマにした作文を書いたり、無料通信アプリ「LINE(ライン)」で自殺を示唆するメッセージを同級生に送ったりして助けを求めていた。
 同県内の市民団体でつくる「子どもの権利条約ながさきネット」(事務局・長崎市)は松竹さんの両親を支援する中で、松竹さんのさまざまなSOSを周囲が見逃した実態を知り「すぐに対応できる相談相手」の必要性を痛感。「子供のためのセーフティーネットを民間の力で広げたい」と準備を始めた。
 5月に開設する相談機関の名称は「子どもの権利オンブズパーソンながさき」。医師と弁護士、教育の専門家の3人をオンブズパーソンに選定し、受け付けた相談内容を定期的な会議で検討する。相談者に文書で対応策を示す他、必要があれば学校や行政、児童相談所などへの働きかけも検討する。
 法的権限がある公的機関とは違って民間としての制約も懸念されるが、中心メンバーの古豊(ふるとよ)慶彦さん(30)は「学校や教育委員会だけでは限界がある。民間だからこそ組織に縛られずにできることがある」と語る。松竹さんの父裕之さん(53)も「一般市民の目線を大切にして子供を守ってほしい」と願う。
 ながさきネット(ソース元で)は18日午後1時半、長崎市魚の町の市男女共同参画推進センターで相談機関開設に向けた学習会を開く。参加費300円。【樋口岳大】