【話題】高校生19人に1人は「通信制」 少子化時代に生徒増のわけは?

少年はリュックからiPad Proを取り出し、自分の「通う」高校を見せてくれた。画面には「国語表現」の授業メニューが並び、それぞれに「完了」マークが付いている。動画を見て、テストに答え、仕上げにレポートを提出する。「ネットの高校」をうたう通信制の「N高校」の授業だ。授業やホームルームはインターネット上でほぼ完結でき、空いた時間は好きなことに使う。そんな「自由」にひかれ、幼なじみ2人とここを進学先に選んだという。彼だけではない。N高校だけでもない。少子化が進む中、通信制高校は増加傾向にあり、実に19人に1人が「通信制」を選ぶ時代になっている。

N高校2年生の小島力さん(17)が待ち合わせ場所のカフェにやってきた。今年1月末、神奈川県川崎市。外の寒さのせいか、頬が少し赤い。

「なんとか今年度の課題が終わりました。ギッリギリ。全然やってなくて、たまってて……。中学の時は毎日学校に行ってたのに、急にフリーになったじゃないですか。最初は少しずつ(課題を)進めてたけど、途中から自由すぎて」

勉強は嫌い。小学校4年ぐらいから寝てばかりだったという。画面の「完了」マークもほとんどは、年が明けてからのものだ。

「普通の学校って、整ってますよね」

N高校は2016年春、学校法人「角川ドワンゴ学園」が開校させた。学校法人の母体は、「カドカワ」である。当初はVR(仮想現実)機器を使った入学式やオンラインゲームでの遠足などが話題になったが、小島さんは至って冷静だった。

「今はいろんな『通信』がある。N高は注目されていろいろ言われるけど、どこも一緒ですよ。つまらない授業だってある。でも、まあ、面白い割合は高いかな」

N高校では必修科目に加え、プログラマーやクリエイター志望者向けの授業、受験対策など、自分に合ったものを選択できる。授業の時間は自由に設定できるから、1日を自由に使える。小島さんも大好きなゲームや中華料理屋でのアルバイトに時間を使うことができ、ピアノも習い始めた。生まれたばかりの弟の世話もするという。

不満もある。

「友達との出会いは少ない。部活もやりたかったな。やるなら、自転車かバンド。普通の高校って、やっぱり整ってますよね。けど、まあ(N高校に)入ったからいいかな、って。自分で決めれば勉強も友達もできるし」

中略

通信制」の割合、30年で倍に

文部科学省の学校基本調査によると、通信制高校の生徒は、2017年度に18万2515人を数え、高校生全体(約346万人)の5.3%を占めた。19人に1人が通信制を選んでいる計算だ。1990年度は高校生全体(約579万人)のうち2.7%(15万3983人)だったから、およそ3万人増えたことになる。

近年は私立の通信制の新設が目立ち、全体の学校数は増え続けている。1998年度に初めて100校に達すると、その後も三つ以上の都道府県から生徒が入学できる「広域通信制」の高校を中心に急増。03年度からは学校法人だけでなく、株式会社も学校を設置できるようになり、17年度には全国で250校を数えた。

こうした中、通信制課程のある私立高校をめぐっては、問題が後を絶たない。

2015年には、三重県のウィッツ青山学園高校による就学支援金の詐取事件が起こり、茨城県に本校を置く鹿島学園高校では、5年連続で定員(4千人)以上の生徒を在籍させている問題も明るみに出た。ほかにも、高校とは思えない簡単なレベルの授業を行ったり、不正な編入学を行ったりする学校もあった。文科省も対応を迫られ、「高等学校通信教育の質の確保・向上のためのガイドライン」を16年に策定した。

それでも通信制の人気は衰えていない。なぜだろう。瑠威さんはこう話す。

「(通信制が増えているのは)好きなことをやりながら、好きな時間に勉強できるからじゃないですか? やる気が出た時にやるから、授業も面白い。(全日制の)学校に行くと、放課後しか自由な時間がない。私は普通の学校に行ったら、中退してたと思います」

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